一生「噛める」歯のために

「オーラルフレイル」という言葉を聞いたことはありますか?
オーラルフレイルとは、お口に関する(オーラル)働きが衰えた状態(フレイル)です。お口は食事、会話、呼吸などの多様な役割を担っています。オーラルフレイルを軽視すると、心身の衰えばかりでなく、社会的な参加にも影響して生活機能の低下へとつながります。年齢を重ねたら、歯の健康とともにお口の機能が低下していないかもチェックしましょう。
  • むせる回数が増えた・食べこぼす
  • 食欲がない・食事の量が減った
  • やわらかいものばかり食べる
  • 滑舌が悪い・口がもつれる
  • 口が乾燥する・口臭が気になる
  • 自分の歯が抜けてしまった・顎の力が弱い
これらは「オーラルフレイル」の特徴です。オーラルフレイルをそのままにすると、「口腔機能低下症」という病気につながります。

「フレイル」とは?

年齢を重ねると、心身機能や認知機能の低下、社会参加の減少などによって日常生活動作や自立度が低下していきます。平均値を超える顕著な心身機能などの低下は「フレイル(虚弱)」と呼ばれ、介護が必要になる一歩手前の状態です。

フレイルは、適切なアプローチを行うと健康な状態へ戻すことも可能ですが、放っておくと要介護状態となるリスクが高まります。健康寿命を延ばすためには、フレイルを未然に防ぐ、もしくはフレイルを早期に発見して健康な状態へと導くことが必要です。フレイルは社会とのつながりを失うことをきっかけに生活範囲の減少や精神機能の低下、お口の機能低下(オーラルフレイル)、栄養の低下、身体機能の低下の順に次々と低下していきます。

フレイル対策の3つの柱

「栄養を摂取するための食べる機能、お口の機能」「運動などの身体活動」「仕事、地域活動などの社会参加」の3つは密接に関わり合っています。いずれかが低下すると負の連鎖を起こして他の2つも低下して、フレイルや要介護状態へと進行していきます。フレイルを予防して健康寿命を延ばすためには「栄養・身体活動・社会参加」の3つを意識して生活していくことが大切です。

栄養

①食事(タンパク質と栄養バランス)
加齢によって食事の量が減ると、筋肉をつくる力が低下します。筋肉のもととなるタンパク質をしっかりととり、主食・主菜・副菜をそろえたバランスのよい食事を1日3食規則正しく食べましょう。

②お口の機能の定期的なチェック
歯や歯ぐきが加齢によって弱くなり、硬いものが食べづらくなると、やわらかいものばかりを口にするようになります。そうすると、食事が偏り健康状態に悪影響を及ぼします。歯科医院での定期検診を受けてお口の機能低下を予防しましょう。

身体活動

①たくさん歩く
②筋肉トレーニングを少しだけプラス

積極的に階段を使う、ひと駅手前で降りて歩く、少し多めを意識してなるべくたくさん歩くなど、動く時間を増やしましょう。
歩くときには背筋を伸ばして腕を前後にしっかりと振り、大きく足を前に出して歩くと全身の筋肉を効率よく使えます。

社会参加

①食事は友人と一緒に
②社会参加を楽しむ

友人と一緒に食事をする、外出する機会を増やす、地域のボランティア活動に参加する、趣味のサロン活動に入会するなど、前向きに社会とのつながりを持ちましょう。自分に合った活動を見つけて楽しむことが大切です。友人や家族と一緒に食事することで、栄養バランスを気にかけたり、食事自体を楽しめて食欲が高まりやすくなります。

「オーラルフレイル」
とは?

オーラルフレイルとは、お口の機能低下のことです。オーラルフレイルが進行してしまう前に適切な対処を行うと、健康なお口の状態へと導くことも可能です。ほんの些細な症状から始まるため見過ごされがちですが、食べる機能がうまく働かなくなり、さらには心身機能の低下までつながる負の連鎖が起こることに対して警鐘が鳴らされています。

お口の機能低下から
心身の機能も低下

わずかなお口の機能低下から始まるオーラルフレイルは硬いものが噛みづらくなり、やわらかいものばかり食べることで噛む機能が低下するといった悪循環が繰り返されます。食事の質が低下して、低栄養やサルコペニアを生じ、心身の機能低下にもつながっていく状態です。自分では気づきにくい症状のため、歯科医院で定期的なチェックを受けましょう。

口腔機能低下症の診断

日本老年歯科医学会によって、2016年に発表された疾患概念です。2018年4月より保険診療となりました。次の7つの状態のうち、3つ以上当てはまる場合に口腔機能低下症と診断されます。
  • 口腔乾燥
  • 舌口唇運動機能低下
  • 咬合力低下
  • 低舌圧
  • 咀嚼機能低下
  • 嚥下機能低下
  • 口腔衛生状態不良(口腔不潔)
口腔機能低下症をそのままにしていると、「咀嚼障がい」や「摂食嚥下障害」などの口腔機能障害となります。口腔機能障害になると、口腔機能低下症の状態へと戻すことはできません。口腔機能低下症の段階で適切な治療を始められるように口腔機能低下症の検査を受けましょう。

オーラルフレイルの
予防から
はじめましょう

お口の「些細な衰え」に気づけるように、歯科医院で定期検診を受けて、健康寿命を延ばしましょう。
  • かかりつけの歯科医院をつくる
  • お口のわずかな衰えにも気をつける
  • 栄養バランスのとれた食事をする

口腔機能低下症の
検査機器

口腔水分計

口の中の乾燥の程度を客観的に数値で測る装置です。舌の先から1㎝の箇所に口腔水分計を約2秒間押し当てるだけで測定でき、負担の少ない検査です。口腔機能低下症の「口腔乾燥」の判定は測定値 27.0 未満となります。

咬合力測定システム用フィルム

歯科用に設計された感圧シート(デンタルプレスケール)を3秒間噛んでスキャナーで読み込むと、咬合力が計測されるシステムです。

オーラルディアドコキネシスの
測定器

舌・唇の運動機能を調べる検査です。「パ」「タ」「カ」のそれぞれの音を「パパパ・・・」と、5秒間できるだけ早くハッキリと連続で発音し、1秒当たりに何回発音できたかを調べます。舌・唇の運動機能を調べる検査です。

舌圧測定器

舌圧測定器につないだ舌圧プローブを口に入れて、バルーンの根元にあるリングを前歯で軽く噛んだまま、舌と口蓋の間でバルーンを約7秒間押しつぶし続けます。入れ歯を装着している方は装着したままで測定します。
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